微笑んでいる目にも、力がない。
口には酸素マスクをつけている。
それでも、帰ってきた。
あたし達の祈りが通じた。
“最期”が近いことは、口にしなくても、誰もが察した。
それは、颯太くん本人が、一番感じていただろう。
だから、あの日。
最後の力を振り絞って、あたし達に会いに来てくれたんだと思う。
あとから聞いた話しだと、本当は起き上がる力さえ残っていなかったんだとか。
けれど颯太くんは、先生に頼みこんであたし達の元へきてくれた。
体力は限界なはずなのに、笑顔は絶やさなかった。
やっぱり、颯太くんは天使だったんだ――…
「親太郎…菜緒ちゃん……一緒に…来て、ほしいんだ……」
颯太くんが声を出すと、酸素マスクが何度かくもった。


