プログラミング・デス

「殺し合いをするために行く訳ではない」

「解ってるよ。でも、無駄だって」

 あいつに説得なんて意味無い。こんな茶番、さっさと終わらせたいんだ。

 ベリルを守るためにベリル自身を傷つける。一体、何を守るためなのか、ジーンの行動は支離滅裂とも思えた。

 しかしジーンにとっては、ベリルを失う事のないように、命を狙うフォージュリを殺してベリルを守るというハッキリとした理由がある。

 それは、ベリルがジーンの手によって重い後遺症を背負うかもしれない可能性には触れていない。

 どんな状態であれ、生きてさえいればジーンには満足なのだろう。

「あれ……?」

 体勢を立て直したベリルにふと、怪訝な表情を浮かべた。

「なんで、血が止まってるの」

 そんなに浅くはなかったはずだけど。

「血が止まるの。ちょっと早すぎない?」

「これは──」

 咄嗟の言い訳が出てこない。下手な嘘も通用しないだろう。

「どういうことかな? 隠さないで教えて欲しいな」

 溜息を吐くベリルに近づき、切れた服の隙間から傷口を確認してジーンは目を丸くした。

「うそ」

 たった今、付けた傷が、どこにもない。