「じゃあ、部活頑張ってね」



「えっ、もう帰るの?」



「うん。まぁね」



あいまいに言葉を濁して、教室を出た。



最近の放課後は誰よりも早く教室を出ることが多い。



その理由は……ここに来てるから。



「司先輩―。来てますか?」


第一図書室を開けると、生ぬるい風がモワッと吹いた。




この感覚には慣れないや。



「んっ……」



あたしの呼び掛けに、もそっと動いた影。




「あれ……?早かったな……」



ぼ―っとした意識のまま、目を擦っている司先輩。



なんか猫みたい……




こんな光景にも慣れた今日この頃。



この教室に通い始めてから、あっという間に3週間が過ぎた。



「またサボってたんですか?」



先輩に少し近づき、椅子に座っている先輩の目線に合わせて屈んだ。



「あぁ―、6時間目なんてやる気出ねぇし」



「もぉ―!そんなんじゃ、進学出来ませんよっ!!」



「いいの。俺、頭はいいから」



確かに頭はいいんだよな―……