「待てよ。鈴加」
優しい声でそう呼ばれた。
反射的にか、足が止まる。
「今日の放課後も来いよ」
「……え」
ゆっくりと振り向くと、さっきより近づいてそう言った先輩。
「あ、あの来いって……どこに……?」
少しわかっていたけど、あえて聞き返した。
「ふっ、わかってるくせに。」
優しく、でもいたずらっぽく笑う先輩。
「俺“ら”だけの秘密の場所に……だよ」
「っ///」
確信犯じゃないかっていうぐらい完璧な笑顔。
「なっ、なんであたしが行かないといけないんですかっ!?」
別にあたしが行く必要なんて……
「いいじゃん。どうせ放課後、暇だろ?」
あたし、そんなに暇人に見えるのか……?
「あたしだって用事の一つや二つ……「じゃあ用事ってなに?」
「えっ……」
まさかそう返してくるとは!
「デート……とか?」
首を傾げて、あたしを見る先輩。
……デート。
確かに孝太と付き合ってた時は、必ず放課後デートをしてたけど……
……っ。
やばっ……
また思い出して泣けてきそう……


