「はぁ―……はぁ―……」
学校を飛び出し、無我夢中で走った。
何が起こったのか、いまいちわからない。
走る速度をだんだん落とし、足元を見ながらゆっくり歩いた。
昼休み、司先輩に悪いことをしたと思って、放課後に司先輩のいる3年C組の教室に向かった。
……そこに居た司先輩は笑っていた。
会話はちゃんと聞こえなかったけど、優しそうに笑いかけていた。
……道岡先輩に。
あたしにいつも向けるような笑顔で『……茜』と名前を呼んで……
……いつもは「道岡」なのに。
……いつもは嫌そうにしてるのに。
そんな醜い、ドロドロした気持ちが爆発しそうで……あたしはその場から走り出していた。