「だからずっと本気を見せなかった……。遊んでる女を演じてた……」
「……」
「でも、もう無理だと思ったから……」
「……え」
「司くん……好きです。1年の時からずっと好きでした」
泣き腫らした瞳が、俺の胸を強く掴む。
俺は今までどれだけの人を傷つけてきたんだろう……
愛だの恋だの……ウザいと思って適当にあしらった。
たまにどうでもいい“彼女”を作って欲求を満たした。
ただ……身体の欲求を。
でもそこには愛が存在することはなかった……
いつも俺は女を利用してばかりだ。
「司くんが好きなの……」
道岡の気持ちが今なら痛いくらい分かる。
だからこそ、真剣に答えたい……
「ありがとう」
「……司くん」
「でもごめん。俺は鈴加以外、考えられないんだ……」
「っ……」
鈴加以外にはあり得ないんだ。
「そっか……。そうだよね……」
無理矢理に作った道岡の笑顔が苦しい。


