「おっかえり~」
「………」
気分が落ちたまま教室に帰ると、俺に反して明るい夏樹が話しかけてくる。
「何だよ―。てっきり授業にも帰ってこないかと思ってた―」
ニヤニヤする夏樹が何を考えているかなんて、目に見えてる……
「なんか泣かれた……」
「……は?」
「俺も“は…?”なんだよ……」
何で泣かれたか、わからない……
「どうせまた鈴加ちゃんを苛めたんだろ?」
確かにからかったのは悪かったと思ってる。
でも……
「なんか鈴加見てると、苛めたくなるんだよな―」
「………お前って……酷い男だな」
「っ……」
否定出来ない自分が憎。
うまくいってると思った途端にこれだもんな。
「まぁ、すぐに機嫌なんて直るだろ」
「……あぁ―……」
そう願うしかないな。


