「あっ、あぁ!そんな遅れてないから大丈夫」
少し早口な司先輩。
今日の司先輩、なんかおかしい?
「じゃあ、行こっか」
「えっ!?行くってどこに?、
歩き出しそうな司先輩を引き留めた。
「は?デートだろ?」
それはそうですけど……
「そうじゃなく、どこに行くんですか?」
映画館?遊園地?
行く場所なんて決めてない。
すると「とにかくいいとこ」だけ言って、あたしの手を握った。
「いいとこ……ですか……?」
「そう。いいとこ」
楽しそうに笑う司先輩に、あたしまで笑顔になってしまう。
あたしもギュッと司先輩の手を握りしめて、歩き出した。
こんな風に、手を握って一緒に歩けることが凄い幸せ……
当たり前のように司先輩があたしの手を握ってくれる。
それだけで、あたしの胸は何度も何度も、大きく高鳴るんだ……


