「蘭……あたし決めたから」


「き、決めたって何を……?」


「ちゃんと今の気持ちを智也に伝える……」


「鈴加……」



心配そうにあたしを見る瞳。



やっぱり蘭は優しいなぁ―……


自分のことのように、あたしを心配してくれる。



でも、頼ってばかりじゃダメだから……



「もう決めたの……。後悔はない……」


「鈴……加」



だからもう気持ちはブレない。



どんなことがあっても……



あたしは……あなただけを想ってる。



「鈴加、お待たせ。帰ろっか?」


カバンを肩にかけた智也が立っていた。



「うん……じゃあ、また明日ね。蘭」


「鈴加……」



まだ心配そうな顔を向けている蘭に背を向け、智也と教室を後にした。