「鈴加はまだ教室居るのか!?」


「鈴加なら帰りました。智也と一緒に……」



「っ、わかった」



俺は屋上を出て走り出した。



いつも鈴加と一緒に帰っていた道を走り続ける。



たった1週間、一緒に帰らなかっただけで、懐かしく感じてしまう風景。



でもどこか殺風景に見える。



きっとそれは……



俺の横に鈴加がいないせいだ。



鈴加が隣にいることが、こんなに当たり前になっていたんだ。




愛し方に法則なんてない。


ないんだ……




なんで、そんな簡単なことわからなかったんだ。



好きすぎて、見えてなかった。




一番大事にするのは鈴加の心なのに……



もう、その心も俺から離れていったかも知れない……



でも智也には譲れない。







いや、智也だけじゃない、誰にも鈴加は譲れないんだ―……