でもそれよりも驚いたのは、幸せで悲しみなんて無縁だと思っていた鈴加に、涙が浮かんでいたこと……



この世の終わりくらいにワンワン泣いていた、その姿……




泣き止んだかと思うと……また泣く。



まるで小さな子供を見ている気分になった。



冗談で『キスしよっか?』って言っただけで、真っ赤になる頬。




やべぇ―…、こいつおもしろい。



女なんてただ容姿を見て、キャアキャア騒ぐ存在にしか思っていなかった。




だから、容姿のいいコイツはきっと、そんなことは慣れてると思っていた。




なのに……顔を真っ赤にして、純情としか言いようがないその様子。



一瞬演技か怪しんだが、俺がいることを知らなかったこいつが、無駄に泣く意味がない……