泣きそうな鈴加を置いたまま、図書室を後にした。
引き返して抱きしめれば、何か代わるかもしれないのに……
俺の足は図書室から放れていく一方……
とにかくここに居たくなくて、逃げるように学校を出た。
行くとこなんてないし、どこかに行く気にもなれなかった……
そんな俺が行くとこなんて、自分のマンション意外になかった。
――ガチャ
鍵の開いているドアを開けて、中に入る。
するとリビングで金髪の長い髪を、アップにしている女。
「あら?帰ってきたの?」
こんな時間に帰って来たのに、何も言わない俺の母親。
一切俺に興味を示さないが、紛れもなく俺を生んだ人。
「じゃあ、あたし出かけるから」とだけ言い残して、バタンとドアは閉まった。
なんであんな親なんだろう……と何度も思った。
頭を撫でてもらうどころか、抱きしめられた記憶すらない……
そんな親から愛情を習えっていう方が無理がある。
「はぁ―……」
深いため息を吐いたまま、ソファーにドサッと倒れ込んだ。