もう、引き返せなかった……



だからと言って、女に優しくするのは鈴加の前でだけ。



鈴加が見てないところで優しくしたって、意味ないから。




なのに、鈴加は俺に何も言わなかった……




そのうち『他の女と手を繋いでた』『キスしてた』だの……




そんな噂が流れたって、鈴加は何も言わなかった。




呆れて、何も言う気にもならないのか?



それとも本当だって……思っているからか……?




俺を取り囲む女なんて、鈴加からの愛情を確認するただの道具でしかなかった。



最低だけど、これが一番鈴加の愛情を確認できた。



だからそんな女たちと手を繋ぐなんて、さらに言うならキスなんて……到底あり得ないことだ。




何か言ってくれれば、否定して素直に鈴加を抱きしめてやれるのに……



どこで間違えたんだよ……



どこで……



考えたって、答えは出ない。



イヤ、最初から分かるわけなかったんだよな……



愛情を教えてもらえなかった俺は……



………やっぱり俺ら。





――『無理だったかもな……』