いつも司先輩と帰る道。
他の女の子と仲良くしてても、帰りは必ず送ってくれた。
つまらないあたしの話しに、笑いながら相づちを打って、キュッと手を握ってくれた。
たった、一度一緒に帰れないだけ。
ただそれだけなのに……
涙があふれそうになる……
「鈴加……?」
……え?
後ろを振り向くと、スポーツバックを肩にかけた、智也が立っていた。
「な……んで………」
なんで居るの……?
「今日、部活早めに終わったんだよ。大会終わったばっかだから、ゆっくり休めって、顧問に言われてさ」
「あっ、そっか……」
「それより………」
眉間にしわを寄せて、じっとあたしの瞳を見てくる。
「……何があった?」
「……え」
「鈴加……泣きそうじゃん」
「っ……」
やばっ……バレた……!?
目元を慌てて手で隠して、智也から視線を反らした。
「ち、違うよ。これはさっき眠くて、あくびしちゃったから」
ははっと笑いながら、必死に言葉を取りつくろった。
「……お前さ……無理してねぇ?」
他の人なんて誰1人通らないようなこの道。
そんな道端で、小さな智也の声が異様に耳に響いた……


