「いいなぁ。ラブラブで……」
ボソッと漏れてしまった本音に、口をハッとして押さえた。
「何言ってんの~。鈴加だってラブラブじゃん♪放課後、一緒に帰ってるんでしょ?」
「……うん。まぁ―……」
他の女の子と仲良くし始めた司先輩だけど、放課後は変わらずあの部屋で会ってるし、一緒に帰っている。
それがあたしの一番幸せな時間。
司先輩を独占できる時間。
大事で手放せない大切な時間なんだ……
「ってかあたしたち、確実に帰りのHR遅れてるよね?」
「うん」
無駄にゆっくり教室に帰っていたあたしたち。
さっき移動教室での授業が最後の授業だったから、つまり今は帰りのHR中。
「一応焦って帰ったフリする?」
そう言ってニヤリと笑った蘭に「そうだね」と言ってあたしも笑い返した。
――…結局、教室に帰った時にはもう帰りのHRが終わっているところだったけど。


