イヤな噂とはおそらくさっき言ってたことだろう。



手を繋いでただの、キスしてただの……



「でも、あんなの嘘に決まってるよね!夏樹も司先輩は鈴加にベタ惚れだって言ってたし♪」



そう言う蘭に「ははっ」と空笑いをした。




ベタ惚れ……か。



そんなわけないのに……




夏樹先輩は司先輩の何を見て、そんなことを言っているんだろう……?



あんな状況で、ベタ惚れなんてあり得ないのに……



「……か……鈴加っ!」


「うわっ!」



呼ばれていることに全然気づかなかった……



「大丈夫?最近ボーっとしてること多いよ?」



心配そうにあたしを覗き込んでくる蘭



「だ、大丈夫だよ!ちょっと疲れてるだけ」


「そう……?」


「うん。だから、大丈夫!それより蘭は最近、夏樹先輩とはどうなの?」


「えっ!?あたし!?」



自分を指差しながら、少し驚いた表情を見せた。



「あたしは順調だよ―っ。」


ブイサインをあたしに見せながらニコッと笑った。



まぁ、わかってましたよ。