「っ……」



――苦しませてでもいいから、離したくない?



そんな最低なことを俺は思ってなかったか……?



「司先輩っ!!」


「……あっ」


「大丈夫……ですか……?」




心配そうな瞳が揺れている。



「あっ……あぁ―……。大丈夫だ」



大丈夫。


俺は……大丈夫。



でも……



「……ごめんな」


「司先……輩……?」



こんな風にしか、愛せない俺でごめん……




「司……先輩……っ」



だけど……離せないんだ。


離すことなんて、出来ないんだ……




俺はこれからもっと苦しめるであろう、鈴加を……ただギュッと抱きしめた―……