「髪の毛、ぐちゃぐちゃじゃん!」
軽く手ぐしをして整える。
「別に大丈夫だって。わかんねぇからさ」
とか言ってまた髪に触ってきた。
「もぉっ!やっぱり智也って最―……「鈴加」
あたしの言葉に重なるように、あたしの名前を呼ぶ声が耳に入った。
声のする方へと振り向くと、手招きをする司先輩が立っていた。
え!?
なんで!?
なんで司先輩がいるの!?
手招きをしているってことは、行ったほうがいいんだよね……?
周りからの痛いほどの視線を感じながら、司先輩のいるドアへと近づいた。
「あの司先輩、どうしたんですか?」
おずおずと前に立って、先輩を見上げた。
「ん?鈴加に会いたくて」
「っ///」
優しく笑った先輩に、一気に頬に熱を持ったあたし。
「じょ、冗談はやめてくださいっ!!」
「ははっ。冗談じゃないんだけどなぁ―……」
――ドキッ
そう言ってイタズラっぽく笑う先輩に、胸がうるさいくらいに鳴り響く。


