――ガチャ



鍵を開け、ドアノブに手をかけた。



いない……か。



まぁ―あんな声を聞かされるくらいなら、居ない方がマシだな。



制服の上着を脱いで、適当に部屋着に着替え、ソファーに座る。



だからと言って、何もすることがなく、テレビを付けたままシャワーに向かった。



これは完璧俺の癖だろうか……?


テレビをつけっぱなしにしておくのは……




シャワーから上がり、髪を乾かさないまま、飲み物を取りにいった。



――ブルルルッ


机の上に置いている携帯が、マナーモードで震えだした。



「はい?」



何も確認せず、通話ボタンを押して耳に当てる。




つ―か髪乾かしてねぇから、水滴が冷たい。



『あの……』


ボソッと遠慮気味に聞こえてきた声。



この声って……



『す、鈴加……です』


「うん」



クスッと笑いを堪えるように、口元に手を置いた。