―――――――………
「じゃあ、な?」
「はい。ありがとうございました」
家まで送り届けてくれた司先輩。
ゆっくりと離される手を見つめた。
なんでこんなに家が近いのかな……?
もう少し遠ければよかったのに……
「鈴加……」
――チュッ
呼ばれた名前に反射的に顔をあげると、すぐに重なった唇。
そしてすぐにその唇は離された。
目さえ閉じるのを忘れるくらい、突然のキス……
「じゃあ、また明日な」
「あっ、はい……///」
ぼーっとした意識のまま、手を振り、帰っていく司先輩の背中を見つめた。
ただ……見つめていた。
――ガチャ
「ただいま……」
司先輩と別れた後は、わかっているのに『ただいま』というのが、癖になっていた。
返ってこない『おかえり』を期待して……


