本当はわかってるんだ……



鈴加が俺の制服を、握った理由。




でもきっと、俺もその質問の答えを答えられるかわからない。



――ガチャッ



「んあっ……ちょっと……んんっ」



家に帰りついてすぐに聞こえてきた、耳障りな甘い声。




『はぁ―……』とため息を吐き、その甘い声から逃げるようにして、自分の部屋に逃げ込んだ。




昔から感じる、女への嫌悪感。



きっとそれはあの甘い耳障りな声が原因だろう。



物心つく頃から、時々聞こえてきた甘い甘いお袋の声。




その声は俺なんかの名前じゃなく、全く知らない男の名前を何度も愛しそうに呼ぶ。




俺の名前を愛しそうに呼ばれたことなんて……




一度もないのに……