その時あたしを呼ぶ声が聞こえた。 「詩織ー」 悠生の表情が曇る。 逃げる間もなく椎名はあたしの目の前まできた。 「あ、浮気者もいたんだ」 「は?」 「行こう詩織」 椎名があたしの手を握る。 「おい椎名」 「何」 「んの汚い手離せ」 「浮気者が何言ってるの、行こう詩織」 ずいずいと椎名があたしを引っ張る。 「ま…椎名…」 「オレに任せて」 「は?何言っ…」 曲がり角を曲がり、あたしの視界から悠生が消えた。