「じゃあ、もしかして…乃亜ちゃんって…」


「そう。彼女の妹なんだ。かなり年離れてるけどね。」


「でも…なんで彼女の妹を氷野くんが…?」


「彼女、親がいなくてさ、おばあちゃんと暮らしてたんだ。」


「……」


「父親は乃亜が生まれる前に離婚して、母親は彼女が中2の時、交通事故で亡くなって。」


「…じゃあ…乃亜ちゃんはあんまり覚えてないんだね…お母さんのこと…」


「たぶんね。父親は生まれた時からいないし。」


「……」



わかってたことだけど、口に出して言うと、つらいものがあった。



菜緒のことも、乃亜のことも。



乃亜は両親共いなくて、お姉ちゃんは眠ったままで。



乃亜はまだわかってないかもしれないけど、乃亜の気持ちを考えると、つらくなった。