トクン トクン トクン....
鼓動が、少しずつ速くなっていく。
犬太郎と私は、メールでしか話していないけど……でも、誰よりもたくさん話をしてきた。
同じ学校の同じ学年だと知った時、私は確かに「運命」だと思ったし、犬太郎もそう言っていた。
“偶然っつーか、運命の出会いだったと俺は思うけど?”
犬太郎は、今でも「運命だ」って思ってくれてるのかな?
「会う気はない」ってハッキリ言ってた犬太郎が、今は私を待ってくれている。
……私を、想ってくれている。
“……会ってみるのも、悪くない。”
その時、唐突に村雨くんの言葉を思い出した。
“みんなとの関係を壊したくないって気持ちはわかる。
だけど、全員にいい顔なんて出来ないのが現実だよ。”
“ツラいかもしれないけど、結城さんが動かなきゃ何も変わらない。
何も変わらないまま居ると、あとで余計ツラくなる。”
……そうだ。 私が変わっていかなきゃ、ダメなんだ。
「不安だから」って、立ち止まったまま過ごすなんてダメなんだ。
「……犬太郎と、会おう」
会ったあと、私たちの関係がどうなっていくかはわからない。
わからないけれど、それでも私は、前へ進まなきゃいけない。
それを強く思いながら、ゆっくりと目を閉じた。