ある日モテ期がやってきた!!~愛されすぎてどうしよう~



優しい微笑みを浮かべる犬飼くんは、イエスともノーとも言わずに、静かに問う。


「もし俺が犬太郎なら、嬉しい? それとも困る?」


もし犬飼くんが犬太郎だったら、私はどう思うだろう?


「……嬉しいとか困るとかは、よくわからない。
でも、“どうしてもっと早く言ってくれなかったんだろう?”っていう風には思うかもしれない。

だって、本当は学園祭で会ってたってことでしょ? それなのに何も言わずに今日まで過ごしてたのは、ちょっと複雑な気分になる」


私……「ユウ」を知りながら、今までメールしてたことになる。

色々悩んでる私を見てたのに、犬飼くんは何も言ってくれなかったことになる。


「……犬太郎は、私の状態を見て楽しんでたの?
全部知ってたのに、知らない顔をして過ごしていたの……?」


胸の苦しみが増す中で、ただひたすらに犬飼くんを見つめ続ける。

そして、返ってきたのは……優しい微笑みと、私の言葉に対する答えだった。




「俺は、犬太郎じゃないよ」