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黙々と勉強する私たちの向かいで、村雨くんはやっぱり小説を読んでいる。
青山に聞いた話だと、村雨くんは学年1位の成績らしい。
凄いなぁ。 そのほんの少しでいいから、私に分けてもらいたい……。
村雨くんはテスト勉強することなく、私たちに教えてくれる為だけにここに居る。
誰からも質問が無ければ、ただ時間が過ぎるのを待ってるだけ……。
こんなことに付き合わせちゃって、申し訳なかったかも。
「ねぇ村雨くん、何か飲む? 私、コンビニで何か買ってくるよ」
飲み物くらいじゃ、全然お礼にならないかもしれないけど……それでも何かはしたい。
そう思ったから聞いたけど。
「俺コーラ」
「あ、俺はオレンジジュースがいいなぁ」
答えたのは、青山と犬飼くん。
しかも、奢ってもらう気満々って……。
「結城さん、一緒に行くよ」
二人の答えに笑いながら、村雨くんが立ち上がる。
「お、啓介。ついでになんかお菓子も頼むわ」
「あ、じゃあクリームパンもよろしくー」
……この二人、どんだけ調子いいんだか。
でも村雨くんは慣れたように頷いて、さっきよりも優しい顔で笑って暗室を出ていった。
それに続き、私も暗室を出る。



