「“そろそろテスト勉強しなきゃー”って言ったのは結城だろ?」
「い、一緒にやるなんて一言も言ってないよ……!!」
「いいじゃん、みんなでやった方が飽きないし。
それに、わからない部分は秀才啓介に聞けばバッチリ!!」
た、確かに村雨くんが居てくれると、勉強ははかどるかもしれないけど……でも、この狭い暗室でメンバー勢揃いっていう状況は、緊張が半端ない……。
私の左側に犬飼くんが座っていて、右側には青山。 村雨くんはテーブルを挟んだ向こう側に座って小説を読んでいる。
……犬飼くんと青山に挟まれて、メチャクチャ狭い!!
て言うか、二人の体がどんどんどんどん迫ってきてる気がするんですけど……!!
「結城ちゃんの顔真っ赤。 可愛いなぁ、ギュッてしたくなる」
「は? 何言ってんだよ犬飼。
結城のことは俺がギュッとするんだぞ、邪魔すんな」
私を挟んだ二人が、火花を飛ばし合ってる。
うぅ、帰りたい……二人に挟まれてるなんて、それだけで精神崩壊しちゃいそう。
こんな状態で勉強したって、全然頭に入ってこないよ……。
「渉も犬飼くんもうるさい。 勉強しないなら僕は帰るよ?」
パタンと小説を閉じた村雨くんは、不機嫌そうに眉を寄せる。
「ごめん、ちゃんとする」
「うん、真面目に結城ちゃんを愛します」
「え? いや、俺の方が結城を愛してるぞ」
……青山と犬飼くんの馬鹿なやり取りに、村雨くんはわなわなと震え、小説の角で二人の頭を叩いた。
「……ごめんなさい、真面目に勉強します」
「……すみませんでした」
頭を押さえる二人。
まるでコントだなぁ。 なんて思いながら笑っていたら……村雨くんの視線が突き刺さった。
「結城さんも、しっかりしてください」
「あ……はい、ごめんなさい」
そんなこんなで、私たちの勉強会は順調(?)に続けられていった。



