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電波の入りにくい暗室を出て、廊下で文字を打ち、私の今の状況を、少しだけぼかしを入れながら話していく。
【 犬太郎のこと、好きだよ。 だけど私は今、他の人のことも好き……。
誰か一人を想っていくなんて、今は考えられない。
こんな人間でごめん。 嫌いになったのなら、それでもいい。
その時はもう、メールは要らない。 本当にごめんなさい。 】
犬太郎からのメールは、もう来ないかもしれない。
こんな態度を取ってる私が悪いんだから、自業自得……。
「……ごめんなさい」
そう呟いたあと、暗室に戻る。
部屋の中に居た村雨くんは、また目頭を押さえて下を向いていた。
私の馬鹿な話を聞いて、そして真剣に考えてくれた村雨くん……。
「……迷惑かけて、ごめんね」
その言葉しか出ない私を見て、村雨くんは小さく言った。
「……僕は、軽蔑したりしない。
結城さんの気持ちは、なんとなくわかるよ。
僕が結城さんと同じ立場ならきっと……僕も同じように悩んでいると思う」
そのまま優しく笑い、メガネをかけた村雨くんは「少し外に出てるよ」と言って部屋を出ていった。



