「結城さん、ここは携帯の電波入りづらいから、それは覚悟しておいてね」
「あ、うん」
犬飼くんが離れたあとなのに、まだ心臓がバクバクしてる。
誰かに抱き締められるなんて、初めてで……なんだろう、身体中が熱くて、変な感じ……。
「ねぇ渉、もう1時半だけど何か食べた?」
「え? あー忘れてた」
「僕らもまだだから、何か買いに行かない?」
「……それって、結城と犬飼を二人にするってこと?」
ドキ……と、また鼓動が速まる。
「大丈夫だよ、俺、何もしないから」
「……嘘くせぇー」
ニッコリ笑う犬飼くんに、青山は苛立ちながら頭を掻く。
「……ぜってー何もするなよ!! 絶対だからな!!」
「はいはい、いってらっしゃーい」
「すぐ戻る。 行くぞ啓介」
バンッと大きな音を立ててドアを開き、青山と村雨くんは部屋を出ていった。



