ある日モテ期がやってきた!!~愛されすぎてどうしよう~



ここは、写真を現像する為に使う部屋、【 暗室 】だ。

だけどウチの学校には、写真部自体、今はもう存在していないから、中がこんな風になってるなんて知らなかった。


凄く綺麗に片付けられていて、埃もない。
部屋のほとんどを占めている大きなテーブルを囲うように、いくつかの椅子が置いてある。

そこには犬飼くんと村雨くんが居て、それぞれに本を読んでいた。


「あれ、結城ちゃん!!」


私に気付いた犬飼くんが、嬉しそうに立ち上がって……そのまま抱きついてきた。


「ちょっ、犬飼くんっ……!!」

「普段近くに居られないんだもん、たまにはいいじゃーん」


そ、そりゃあ毎日メールだけで、時々電話するくらいだけど……抱きつくなんて、心臓破裂しちゃうっ……!!


「犬飼!! てめぇ俺の結城に何やってんだ!!」


お、俺のって……青山まで何言ってんの……。
あーもうっ、村雨くん笑ってないで止めてー……!!


「とにかく離れろ。
こんなんじゃ、ここに結城を置いとけねーよ」

「もー……わかったわかった。
たまには良いじゃん、ケチ青山」

「たまには、って……俺は結城を抱き締めたことなんてないんだけど?」

「へぇ……じゃあ俺、青山より結城ちゃんに近いんだ?」

「……てめぇ、喧嘩売ってるのか?」

「別に?」


うわわ……二人の間に火花が散ってる。

どうしよう、殴り合いの喧嘩になっちゃいそうな雰囲気……。


「渉、落ち着いて。で、犬飼くんは自重して。
声、外に聞こえちゃうから」


ようやく止めてくれた村雨くん。
それをきっかけに、二人はブウブウ言いながらもようやく離れた。