ある日モテ期がやってきた!!~愛されすぎてどうしよう~



「やべ、最下位じゃん」


けらけら笑う青山は、その点数に驚きも喜びもしない。
凄い。 きっと、常にそのくらいの点数なんだろうなぁ……。


戻ってきた青山は、参加賞で貰ったお菓子を私に渡して微笑む。


「結城も何か歌ったら?」

「えー? 私、下手だもん」

「お、それなら優勝間違いなし!!」

「あ、そうか……って、人前で歌うのなんて嫌だよー……」


青山みたいに大勢の人の前で歌う度胸なんて、私にはない。
目立つことなんてしたくないしね。

「なぁ結城、今度俺の前だけで歌ってよ」

「……はぁ? 何言ってんの? あんた馬鹿?」

「馬鹿とか言うなよ、俺は常に本気。
二人っきりの時にさ、俺にだけ声を聞かせて?」


ドキン

甘いささやきに、鼓動が速まる。


「ば、馬鹿じゃないの!! 二人きりになんかなりたくないし!!」


心臓がドキドキして、変な気分……。
それを隠すように体育館の外へ歩き出すけれど、腕を掴まれてすぐに立ち止まる。


「結城」

「な、何っ?」

「一通り回ったし、あとは隠れるか」

「え? あ、うん」


そういえば……犬飼くんが隠れてる場所に行く約束をしてたかも。


「こっち」


そのまま手を引っ張られて、体育館を出る。


普段からあまり人が通らない廊下へとやって来て、誰も居ないのを確認して、そのドアを開ける。


「わぁ……」


そこは、窓のない狭い部屋。