「私だけ女だね」
「そりゃあ、他の女入れたら意味無いじゃん。
それにお前、女って感じがしないから大丈夫」
「……あのー、私こんなんでも、ちゃんと女ですけど?」
「あ、そうだっけ? ペチャパイだからわかんなかったわ」
うっ……ヒドイ、結構気にしてるのに……。
「やっぱり青山、嫌い」
「そう怒るなって。 俺は好きだよ?」
「……ペチャパイが?」
「そうそうこのペターッとした感じが……って違うだろ!!
お前のことが好き、だろーが普通」
コツン、と頭を叩いてくる青山は呆れた様子だけど、どこか楽しそうだった。
「別になんもしないから安心しろ。 俺っていい奴だろ?」
「いい奴って自分で言う? て言うか、何もしないのが普通じゃん?」
「あはは、そうかも」
青山は凄く楽しそうで、私もまた、青山との会話が楽しかった。
前はイヤでイヤで仕方なかったのに、今は青山が隣に居ると安心出来る。
「学園祭、楽しみだな」
笑顔で言った青山は、私の頭をポンポンっと叩き、先に行ってしまった。
今まで見たことの無い、優しくて温かい笑顔……。
青山って、あんな顔で笑うんだ……。
初めて見るその顔に少しだけ戸惑いを感じながら、再び廊下を歩き出した。



