『結城ちゃん?』
わぁっ……紛れもなく、犬飼くんだ!!
「は、はい!! 私です!!」
『急にごめんね。 今、大丈夫?』
「あっ、うん!!」
携帯を通して、犬飼くんの優しい声が聞こえてくる。
周りにはもう女の子たちは居ないみたい。
『青山にね、結城ちゃんの番号聞いてたんだ。
ほんとは連絡が来るのを待ってるつもりだったんだけど……どうしても話したくて電話しちゃった』
機械を通してるのに、凄く綺麗な声。
その素敵な声を、今は私だけが聞いてるんだ……。
『結城ちゃん、聞いてる?』
「あっ、はい!! 聞いてます!!」
『もー、敬語やめてよー。 もっと自然体で話して?』
「う、うん……」
って言われても、馴れ馴れしく話しちゃいけないような雰囲気の人なんだよなぁ。
みんなは平気で話してるけど、私は無理かも……。
『ねぇねぇ、結城ちゃんって、彼氏居る?』
あ……そうだ、それを言わなくちゃいけないんだった。
「あの、居ます」
『え、ほんと? 最近ずっとメールしてるのって、彼氏?』
「……うん」
犬飼くんも、私がメールしてるのを見てたんだ……。
『ねぇ結城ちゃん。俺、2番目でもいいから結城ちゃんの彼氏になりたい』
「へっ?」
え、それって、どういうこと……?



