どうして犬飼くんは、私のことが好きなんだろう?
一緒に居るあの子たちの方が明らかに可愛いのに。
……まぁ、裏の顔は怖いけど。
それに、独特の雰囲気ってなんだろう?
私はただ普通に過ごしてるだけなのになぁ……。
「とりあえず出るか。ここは居づらい」
周りの人の迷惑とかを考えないで、キャーキャー騒ぐ女の子たち。
それを横目に、席を立つと……来た来た、「犬飼くんに近づかないでよ?」って言ってるこわ〜い視線……。
そういうのを見ると、やっぱり犬飼くんにメールなんて無理だって思っちゃう。
あの子たちにバレたら、私、マジで学校に居られなくなるよ……。
どんよりと重たい空気を纏いながら、レジに向かう。
「俺が出すからいいよ」
「え? でも……」
「クレープ代、元々俺が出すつもりだったんだから気にすんな。
それに、ドリンクバーなんてクレープより安いし」
「……ありがとう」
「おー」
慣れた手つきで会計を済ませる青山。
なんか、今日の青山って優しいなぁ……。
こんな風に優しくされたことなんてないから、凄く嬉しい。
「あ、啓介。 お前は自分で払えよ?
男に奢って得することなんて無い」
「言うと思った」
そう笑った村雨くんは、すでにドリンクバーのお金を用意していて、こちらも慣れた手つきで青山へと渡す。
いつもこんな風にやり取りしてるのかな? なんて思ったら、顔には自然と笑みが浮かんだ。



