ある日モテ期がやってきた!!~愛されすぎてどうしよう~



「あいつ、結城に一目惚れしたっぽい。
なんか、独特の雰囲気があって気になるとか言ってた」

「独特!?」

「よくわかんねーけど、もっと色々話したいって」


その青山の手には携帯が握られている。
よく見ると、画面は電話帳の、犬飼くんのページになってる……ってことは、まさか……。


「電話番号とメールアドレス、結城に教えといてって頼まれた。
嫌じゃなければ、あいつにメールしとけ」


うわっ……やっぱり!!


「あの、それ凄く困るよ……。
あの子たちにバレたら、私の学校生活終わっちゃう……」

「あいつはバラさないし、俺もバラさない。
お前も黙ってりゃ平気だろ」


そうだとしても……「もしも」ってことがあるじゃん。

それに、犬飼くんにメールしたとして……何を話せばいいかだってわかんない。


「私は平和に学校生活送りたいのに〜……」


はぁ……と、ため息をつく。

その時、向かい側に座る村雨くんが微笑むように言った。


「もし何かあったとしても、彼はそれを放っておいたりはしないし、僕も渉も、何かあれば助ける。
と言っても、僕は違うクラスだけど……でも、必ず結城さんの力になるよ」

「……うん、ありがとう」


村雨くんは、確かに私を助けてくれるかも。

でも、青山はどうだろう。
私が苦しんでるのを、笑って見てるようなタイプだもんなぁ……。

……そして肝心の犬飼くんは、女の子たちの妬む視線を気にもしてないみたいだから、何もしなさそう。て言うか、何も気付かないかも。


「別にさ、犬飼と付き合えって言ってるわけじゃないんだから、とりあえずメールしてみれば?
メールがツラいなら、本人に言えばいいことだし」


相変わらず不機嫌そうに言う青山。
無理矢理に犬飼くんの電話番号とメールアドレスを私の携帯に登録した。


……参ったなぁ。