女の子たちに睨まれたまま、動けない。
なんでこんなことになっちゃったのかなぁ……。
と、そんな時、青山と犬飼くんが戻ってきて、場の空気が変わる。
「犬飼くぅ〜ん、どこ行ってたのぉ?」
……猫なで声、気持ち悪っ!!
だから女って嫌。 私も女だけどさ……。
犬飼くんはさっきと同じようにニコッと笑ったけど、私に声をかけることなく、少し離れたテーブルに女の子たちと座った。
はぁ……ようやく怖い人たちから解放された。
「……なんだか、大変ですね」
「あっ……村雨くん、ごめんね? 私のせいで、イヤな思いさせちゃったよね……」
「いや、僕は大丈夫。 結城さんこそ大丈夫?」
「うん」
村雨くんの言葉に笑顔で頷くけど、本当はすっごく疲れた。
私はただ、目立たず静かな生活を送っていたいだけなのになぁ……。
「結城、ちょっと耳貸せ」
「へっ?」
不機嫌そうな青山が、私の隣に座ってそっと耳打ち。
な、なんかゾクゾクして変な感じ……。
「犬飼 良太郎が、お前のこと好きなんだって」
「……え?」
えぇー!?
好き!? 犬飼くんが、私を!?
私と犬飼くんは、今日初めて会話したのに!?
「な、なんでそうなるの……!?」



