ドキン ドキン ドキン....


さっきよりも、ずっとずっと速く心臓が鳴っている。

そして……啓介くんのどこか悲しそうな表情が、何かを決意したものに変わる。




「離れてる間もずっと、僕は結城さんのことだけを想ってた。
そして、これ以上離れたくないって思った。

結城さんのそばに居たい。 結城さんの隣で生きていきたい。 これが僕の答えです」


啓介くんの、答え。

やっと聞けた、啓介くんの本当の気持ち……。




「……僕のワガママのせいで、結城さんに迷惑をかけるかもしれない。
僕が自分の気持ちを全部言ってしまったら、良太郎は笑顔になれなくなる。
だけどそれでも僕は、結城さんの隣に居たい。 結城さんは僕の“大切な人”だから、絶対に失いたくないんだ」

「啓介くん……」

「僕のそばに、居て欲しい」


真っ直ぐで、真剣で、それでいて不安そうで、今にも泣き出しそうに震える声。

……自分の想いを伝えるのは、本当に怖くて不安で、苦しい。

今までの関係が終わってしまうかもしれない選択をするのは、本当に本当に怖い。


だけど、選んでくれてありがとう。

私を見つめてくれて、ありがとう……。




「そばに居るよ」


またポロポロと涙がこぼれ落ちるけれど、それでも私は、いっぱいの笑顔で啓介くんを見つめた。


「啓介くんのそばに居る。 一緒に、前へ進んでいこうっ」

「……うん」


ギュッと握られた手にまた力が入り、私も同じようにギュッと握り返す。


ようやく重なった、二人の想い。
それを強く感じながら、私たちは微笑み合った。