女の子たちの視線が怖い……怖すぎる……。
「クレープ屋さんに居ないんだもん、探しちゃったよー」
「い、色々ありまして……」
「そうなの? それでファミレスに居たのかー」
「あ、はい……」
女の子たちは私をずっと睨んでるけど、犬飼くんは全然気付いていない。
私の向かい側に座ってる村雨くんや、近くに立ってる青山は明らかに引いてるけどね……。
「ねぇ結城ちゃん、これから俺とデートしない?」
「はっ? あ、いえ……困ります、ほんとに……」
「絶対無理? 明日とかも?」
「む、無理だと思います……」
私と犬飼くんって、同じクラスだけど……でも今まで話したことなんてない。
なのにどうして、デートとかそんな話になるのかな?
イケメンの間では、そういう遊びが流行ってるとか……?
ヤバいなぁ……女の子たち、ほんっとに怒ってる。
私、明日からイジメの対象になるかも……。
「……犬飼、ちょっと来い。 話がある」
そこで言葉を発したのは、青山だった。
視線だけで犬飼くんを促し、歩いていってしまう。
「結城ちゃん、俺とのデート、考えといてね」
ニコッと笑った犬飼くんは、青山のあとを追って行ってしまった。
それと同時に、私のそばにやって来る女の子たち……。
「ちょっと結城さん。 結城さんって犬飼くんのなんなの?」
「……私が聞きたいです」
「はぁ? 何それ。
じゃあなんで犬飼くんがあなたなんかに話しかけるのよ?」
……知らないってば。
あぁ、もう帰りたい……。
「とにかく!! 犬飼くんとこれ以上話さないでくれる?」
「……はい」
そんなの、私じゃなくて犬飼くんに言って欲しいよ……。



