「えっと……さっきは本当にごめんね」
「うん、大丈夫」
「…………」
「…………」
……うわ、会話が止まっちゃった。
私、男の子と話すのって苦手なんだよなぁ……。
青山みたいにガンガン話しかけてくる人となら、それに合わせて話していけるけど。
村雨くんは、青山とは違うタイプみたい。
青山はただの馬鹿だけど、村雨くんはその逆。
メガネがよく似合っていて、落ち着いていて、頭が良さそう。
きっと、どんなことにも焦ることなく対応が出来る人なんだろうなぁ……。
会話が止まってしまっても、私みたいに焦ることはなく、ゆったりとした時間の中で水を飲んでる。
他の人に流されずに自分の時間を楽しんでる感じ。
……なんか、素敵だなぁ。
なんて思いながら村雨くんを見ていたら。
「結城!! ヤバいぞ隠れろ!!」
「…へっ?」
青山が焦った顔でトイレから戻ってきた。
隠れろって、そんなこと言われても隠れる場所なんか……。
「……あ」
キョロキョロと辺りを見回していたら、出入口に立つ「彼」に気付いてしまった。
「あ、結城ちゃんみーつけたっ!!」
女の子たちに囲まれている犬飼くん。
青山はそれに気付いたから「隠れろ」って言ったんだ。
でももう、時すでに遅し……。



