「青山!! コラ待てー!!」
「バーカ、誰が待つかってんだ!!」
ベッと舌を出して笑う青山。
あぁもう、心配してたのが馬鹿みたいっ!!
廊下には生徒たちが数名居たけど、私たちはそんなの関係なしに鬼ごっこを続けた。
「おっ、啓介!! いいところに来た!!
あの暴力女をなんとかしてくれ!!」
数メートル移動した時、青山が誰かの後ろに隠れる。
「このままじゃ俺、あいつに殺される!!」
「……えっと、何がどうなってるのか、わからないんだけど」
青山に「啓介」と呼ばれた、メガネをかけた細身の男子生徒。
その人が、私を見る。
「違うの、悪いのはこの馬鹿青山!! 私は普段のうっぷんを晴らしただけ!!」
「お前っ、だから股間狙うのはナシだろ!!
ココはマジで大切な場所なんだぞ!?」
「手加減すれば平気でしょ!?」
「そういう問題じゃねーよ!!」
男の子を間に挟み、言い合いをする私たち。
周りの視線が次第に増えていく。
「……あの、お二方。 とりあえず学校出ません?
これ以上騒ぐと、先生たちも来ちゃうんで……」
「あっ……ごめんなさい!!」
うわっ。学校の中で何やってんの私……!!
いろんな学年のいろんな人たちに、クスクス笑われてる。
さ、最悪……私、絶対顔真っ赤……。
「渉、落ち着いて。 学校出たらちゃんと話聞くから、ね?」
「……おー、わりぃ」
周りの状況に気付いたのか、青山も顔を赤くする。
「……行くぞ!!」
「う、うん……!!」
何事も無かったかを装いながら、私たちはそそくさと学校を出た。



