ある日モテ期がやってきた!!~愛されすぎてどうしよう~



高校を、卒業したら……?


「卒業したら向こうに行って、色々なことを勉強して、親父の会社を継ぐ。
だから高校の間だけは自由にさせてくれって頼み込んで、それでなんとかオーケーが出たんだ」

「そう、なんだ……」

「また倒れるようなことがあったら、その時はもう有無を言わせず向こうへ引っ張っていくらしいから、なんとか頑張らなきゃ」

「……うん」


ニコッと笑ったあと、犬飼くんはグッと背伸びをして深く深く息を吐き出した。


「でもひどいと思わない? さゆには帰国することを話してたのに、俺にはなんの連絡もなし!!
おまけに、俺がアパートに居ない間に俺の荷物ぜんっぶ運び出すつもりだったみたいだし。
ほんっと、頑固者の父親を持つと苦労するよ」

「あっ……ねぇ犬飼くん。 青山と小百合ちゃんは、お父さんたちとどんな話をしてたの?」

「あー、実はね、さゆのことも向こうに連れていくとか言ってたみたい。
さゆはそう言われることを予想してたから渉を呼んでたんだよ。
で、“渉さんにプロポーズされたので外国へは行けません”って言っちゃった」

「えぇ!?」

「両親ポカーンとして、渉もポカーン。
でも、さゆが渉を好きなのは周知だったし、渉もさゆのこと気になってるじゃん?
だから、とりあえずプロポーズの件は様子見。 で、さゆはばあちゃん家で非行することもなく真面目に暮らしてるから、さゆが向こうに行くことは多分ないよ」


あはは……小百合ちゃん、大胆なことしたなぁ。

ご両親も青山も、凄く驚いただろうな……。


でもよかった、小百合ちゃんも外国へは行かないんだ。
せっかく知り合えたのに、すぐにバイバイだなんてイヤだもんね。


「ま、とりあえずは現状維持ってことだから、これからもよろしくー」

「……うん」


犬飼くんも、今までと変わらないところに居てくれる。

高校を卒業するまでは、だけど……。


でも、それまでは一緒に居られる。 それが嬉しい。