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それから私たちは、手を繋ぎながら夕日を見つめた。
二人きりの屋上で、時が流れるのを忘れながら……ゆっくりと、二人の時間を楽しんだ。
そして、街が「夜」に変わる頃、私と啓介くんは暗室へと向かっていた。
啓介くんの荷物は暗室に置いていたし、カメラを保管するにも、暗室は最適の場所。
だから私たちは手を繋いで暗室に向かっていたんだけど……。
「……良太郎?」
暗室前の廊下で、犬飼くんが壁に寄りかかりながら腕を組んでいた。
「待ちくたびれたよ、啓介」
その顔は笑っていたけれど、でも、なんだか凄く疲れた感じ……。
「来てたのなら、メールしてくれればよかったのに」
「残念ながら携帯の電池切れー。
探しに行こうかとも思ったんだけど、すれ違いになったらヤダなぁと思って待ってたんだ」
「そっか」
普段通りのやり取りをしながら、啓介くんは暗室の鍵を開ける。
そして3人で中に入り、それぞれがいつもと同じ場所に座ったところで、犬飼くんの話が始まった。
「父さんと母さんと色々話したんだけど、俺、向こうに行くことになったんだ」
ドキッ....
向こうって……お父さんとお母さんの住む、外国へ……?



