ある日モテ期がやってきた!!~愛されすぎてどうしよう~



………

……




それから私たちは、手を繋ぎながら夕日を見つめた。

二人きりの屋上で、時が流れるのを忘れながら……ゆっくりと、二人の時間を楽しんだ。


そして、街が「夜」に変わる頃、私と啓介くんは暗室へと向かっていた。

啓介くんの荷物は暗室に置いていたし、カメラを保管するにも、暗室は最適の場所。

だから私たちは手を繋いで暗室に向かっていたんだけど……。




「……良太郎?」


暗室前の廊下で、犬飼くんが壁に寄りかかりながら腕を組んでいた。


「待ちくたびれたよ、啓介」


その顔は笑っていたけれど、でも、なんだか凄く疲れた感じ……。


「来てたのなら、メールしてくれればよかったのに」

「残念ながら携帯の電池切れー。
探しに行こうかとも思ったんだけど、すれ違いになったらヤダなぁと思って待ってたんだ」

「そっか」


普段通りのやり取りをしながら、啓介くんは暗室の鍵を開ける。

そして3人で中に入り、それぞれがいつもと同じ場所に座ったところで、犬飼くんの話が始まった。




「父さんと母さんと色々話したんだけど、俺、向こうに行くことになったんだ」


ドキッ....


向こうって……お父さんとお母さんの住む、外国へ……?