ある日モテ期がやってきた!!~愛されすぎてどうしよう~



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その後、犬飼くんからの連絡はなく……小百合ちゃんと一緒だったという青山からの連絡もないままに、放課後を迎えた。

今日は、朝からずっとぼんやりしちゃってたかも。

色々な先生の授業を受けたはずなのにまったく記憶に残っていなくて、頭の中では、ずっとずっと犬飼くんのことを考えていた。


外国へ行っちゃうのかな……。

それとも、おばあちゃんのお家から学校へ通うか、お姉さんのお家から学校へ通うか……。


犬飼くんとお父さんは、いったいどんな話をしたんだろう?




そんなことを思いながら、教室の窓際で空を見ていたら、トントンと肩を叩かれた。


「あ……啓介くん」

「良太郎のこと、考えてたの?」

「うん。 なんか、どうなっちゃうのか心配で……」

「そっか」


紙袋を持って現れた啓介くんは、いつもと同じようににっこりと笑う。
私は凄く心配で不安で仕方ないんだけど……啓介くんは、犬飼くんの話し合いのことをどう思ってるんだろう?


「ねぇ啓介くん。 犬飼くんが遠くに行っちゃうかもしれないってことを考えて、不安になったりはしない?」

「不安というか……もし良太郎が外国へ行くと決まったら、多分“あぁそうなのか”ってことしか思わないよ」

「えー……幼なじみが遠くに行っちゃうのに、それだけ?」

「別に永遠の別れってわけじゃないし、電話とかメールとか、やり取りをする手段はいくらでもあるから」

「……啓介くんって、案外冷たいね」

「じゃあ、ワンワン泣いて“離れたくない!!”って言った方がいい?」

「え、それはそれでなんかイヤ……ていうか、“じゃあ”って言い方自体が微妙な気がする……」


うーん……私は幼なじみが居ないからわからないけど、幼なじみが居る人はみんな、遠く離れるとしても「あぁそうなのか」ってことしか思わないのかなぁ?

それとも、啓介くんがさっぱりとしてるだけ?

んー……よくわからない……。