ある日モテ期がやってきた!!~愛されすぎてどうしよう~



……カバンは、見事に青山の 股間 に直撃した。

うずくまる青山。
一緒に出てきた女子たちは笑い、男子たちは同情の眼差しで背中をさすってる。


「……ごめん、大丈夫?」


いつまでも動かない青山に、さすがに心配になってきた。


「あーもう……マジ無理……」


僅かに聞こえた声は、今にも死にそうだった。


……結局、カップルたちとはそこで別れ、私と青山はその場に残ることに。


「保健室入ろうか?」

「……暴力女に股間を殴られましたって言うのか? ただの恥さらしじゃん」

「だから、ごめんってば」

「マジ、死ぬ……」


あれから数分が経つけど、青山は廊下に座ったまま動かない。

なんだか、本当にヒドいことしちゃったみたい……。


「大体女は……男がどれだけ痛い思いをするか、全然わかってねーんだよ……」


…怒ったような声。

いつもうるさいぐらいの声が、凄く低くて怖い。


「ご、ごめんね? お詫びにさ、クレープは私が奢るから」

「無理、許さない」

「……じゃあ、どうすればいいの?」


ビクビクしながら青山を見つめ続けるけど、その顔は、やっぱり怒ったような顔してる。




「責任取れよ」

「え、責任……?」

「このままコレが機能しなくなったら、お前のせいだろ?」

「そ、それは……」

「今ならキスで許す」

「……へ?」


な、なんで急にキスの話になるの!?


「ブチューッと熱いキスを交わせば、絶対痛みは引く。
ほれ、恥ずかしがらずにやっちまえ!!」

「ちょ、ちょっと……」

「早くしろよー。 このままじゃ、全然痛みが引かないんですけどー?」


……はぁ。
やっぱり青山は青山だ。


「調子に乗らないでよ、この馬鹿!!」


もう一回殴ろうかとカバンを構えると、さっきまで動けなかったのが嘘みたいに、青山は物凄い勢いで逃げてった。