ある日モテ期がやってきた!!~愛されすぎてどうしよう~



「あのっ……私、ちょっと青山にメールしてくるねっ」


言い合いをしてる犬飼くんと小百合ちゃん、そしてコーヒーを飲む村雨くんに声をかけて部屋を出る。




玄関を出て、風を感じながら青山へのメールを打つ。


【 みんなと一緒に過ごしてて気付いた。
私ね、青山のことが凄く大切だけど……でもそれは、友達としての気持ちなんだ。
青山のこと、大好きだよ。 だけどそこに恋愛感情はない。 本当に、ごめんなさい。 】


そう書いて、ためらうことなく送信ボタンを押した。


これでいいんだ。
これが、青山に対する私の気持ち……。




「なーおちゃん」

「あっ……犬飼くん」

「さゆがしつこいから、逃げてきちゃった」


ニコッと笑ったあと、犬飼くんは隣に来て空を見上げる。
だから私も、それにつられるように空を見上げた。

雲ひとつなく、どこまでも続く青がとても綺麗……。


「私ね、青山に自分の想いを伝えたの。
青山のことは大好きだけどね、でも、私と青山は今以上にはなれない。
友達として、青山のそばに居たいって思ったの」


と犬飼くんに話した時、青山からのメールが返ってきた。




【 少し残念だけど、でもお前の気持ちが聞けてよかった。
これからは友達としてお前の隣に居るよ。 恋人になることは諦めないけどな(笑) 】


その言葉に、クスッと笑う。

青山らしい言葉が返ってきたことにホッとするのと同時に、嬉しさも感じる。


【 色々ごめんね。 でも、ありがとう。 】

【 おう、気にすんな。 俺は立ち直りが早いから大丈夫(笑)
それと、結城に「大好き」って言ってもらえて嬉しかった。 ありがとう。 】


……青山、ありがとう。




「渉らしい言葉だね」

「うん」


携帯を覗き込んだ犬飼くんがクスクス笑いながら、私の頭を優しく撫でた。


「奈央ちゃん、ちゃんと答えが出せて偉かったね」


小百合ちゃんの頭を撫でてる時と同じ、優しい笑顔。
心がじんわりと温かくなるのを感じながら、私も微笑む。


「さ、そろそろ戻ろうか」

「うん」


少しだけ見つめ合ったあと、私たちは手を繋ぎながら部屋へと戻った。