「犬飼。 お前が来たら、また男が余るだろ?」
青山の言葉に、彼…――犬飼 良太郎はクスクスと笑った。
「青山が行かなきゃ人数ピッタリじゃん?」
「はぁ!? なんでそうなんだよ!!」
「だって俺、結城ちゃんとクレープ食べるもん」
えっ!? と思う暇もなく、犬飼くんは私の隣に来て、肩に手を回した。
「結城ちゃんも、馬鹿青山じゃなくて俺と食べたいよねー?」
うわっ!! 犬飼くんの顔、近いっ……!!
と、その瞬間。
教室内の空気が一変した。
これは、かなりヤバい状態かも……。
だって犬飼くんは、クラス1のイケメンで人気者で、みんなの憧れの的。
妬む女子からの視線が、痛いし怖い……。
「い、犬飼くん!! 私、青山に奢ってもらうって約束したから!!」
「えー、俺とはイヤ?」
「い、イヤじゃないですけど、困ります!!」
犬飼くんからなんとか離れて、青山の後ろに隠れる。
けど、今度は「犬飼くんの誘いを断る気!?」って視線。
一緒にクレープを食べるのはダメ、誘いを断るのもダメ……。
どっちにしても、女子たちからの妬みの視線は厳しい。
私にどうしろって言うのー……!?



