ある日モテ期がやってきた!!~愛されすぎてどうしよう~



………

……




その後、帰りのホームルームと清掃を終え、私は帰り支度を進めていた。

犬太郎からのメールはない。

向こうも私と同じように動いてるはずだから、今は帰り支度の途中かな?




「おーい、結城ー!!」


と、そこにやって来たのは、いつも騒がしい青山 渉。

何かを企んでるようなニコニコ笑顔に、げんなりとなる……。


「みんなでクレープ食べに行くんだけど、一緒に行かない!?
頼む!! 女子が一人足りないんだ!!」


青山の後ろに視線をやると、クラスメートたちがわいわい楽しそうに話してる。

よく見ればみんな恋人同士で、青山だけが独り者だ。


「一人で寂し〜く食べれば?」

「ダメダメ!! カップルだと全品半額フェアなんだから、お前が居なきゃ俺だけ損じゃん!!」

「えー……じゃあ他の人を誘えばいいじゃん」

「お前の分は俺が奢ってやるから、頼む!! どうしてもチョコバナナが食いたいんだ!!」


まるで、神様にお願いをするように手を合わせる青山。

まぁ……奢ってくれるのなら、一緒に行ってもいいかも?


「1番高いの頼んでもいいの?」

「よっしゃ来い!! チョコバナナのためだったらなんでもするぜ!!」


あはは、単純馬鹿。

でもなんか、青山らしくていいかも。

沈んでた気分が、青山の馬鹿元気のおかげでちょっとだけ回復した感じ。


「待ってろよー、俺のチョコバナナ!!」


そんな言葉に笑いながら、みんなと教室を出ようとした時……――、




「ねぇそれ、俺も行っていい?」


騒がしい教室内に通る、綺麗な声。

風は吹いていないのに、「彼」のところから教室全体に、爽やかな風が流れたような気がした。