「あらあらー、大丈夫?」
「結城さんをお風呂場に案内して」
「はいはーい、こちらへどうぞー」
ふんわりと優しそうなお母さんに案内されて、お風呂場へ。
「結城ちゃんのことは、渉くんと良太郎くんからいつも聞いてたわよー」
「……そう、なんですか?」
「うん。 啓介は全然何も言わないけどね。
でも、結城ちゃんの話をしてる時の3人はいつも楽しそうだから、私も会ってみたかったのよー。
あ、洗濯しておくから、脱いだ服はそこに入れてね」
「あっ……すみませんっ……」
「じゃ、シャワー浴びて温まってらっしゃい。
着替え持ってくるね。 私の服だから、ちょっと大きいかもしれないけど」
ニコニコ笑いながら、村雨くんのお母さんは脱衣場を出ていった。
村雨くんのお母さんって、本当に優しそう。
ううん、「優しそう」じゃなくて「優しい」んだ。
少し話しただけなのに、凄くあったかい気持ちになれる。
ああいう人がお母さんだなんて、村雨くんが羨ましいなぁ……。 なんて思いながら、服を脱いでお風呂場の中へと入る。
「……っくしゅん」
やっぱり、だいぶ冷えていたみたい。
冷たくなった体をさすりながら、熱いシャワーを足からゆっくりとかけていく。
……村雨くんに、またキスされちゃった。
雨に濡れてて冷たかったな……。
あんなに濡れてたのは、私のことをずっと探してくれてたからなんだよね……。
私、迷惑かけてばっかりだな……やっぱり私なんて、居ない方がいいのかもしれないな……。
そう思いながら、熱いシャワーを浴び続け、小さく息を吐いた。



