ある日モテ期がやってきた!!~愛されすぎてどうしよう~



………

……




吹きっさらしの公園で、雨と涙が混じり合う。

雨はどんどん強くなって、私の体はびしょ濡れで、横に置いた携帯もびしょびしょだ。

防水機能はついているけれど、こんなに濡れたら使えなくなるかな……なんて他人事のようにそれを見つめる。


……と、誰かがその携帯に手を伸ばした。


「探した」


ぼんやりその人を見ると、その人は私と同じように全身が濡れていて……安堵と後悔が混ざった顔で、私の前にひざまずく。


「おいで」


普段と変わらない、村雨くんの優しい言葉……。

手と手が触れ合って、引き上げられて、歩き出す。


……どうして村雨くんはここに来たの?

さっきまで私たちはメールで言い合いをしていたし、私はかなりヒドイコトを言ってしまった。

なのに村雨くんは、なんでここに来たの……?





「……離して」


ようやく出た言葉と同時に、村雨くんの手を弾く。


「なんでここに来たの……?
私、村雨くんと話すことなんてもうない。 お願いだから放っといて。
私は誰とも付き合わない。 みんなと一緒に行動もしない。
だからもう、私に構わないで……」


村雨くんとはもう一緒に居られない。
ううん、村雨くんだけじゃない。 青山や犬飼くんとだって、もう居られない。


それが私の出した答えであり、進むべき道……。

だけど村雨くんは、もう一度私の手を掴んで歩き出す。


「離してよっ……」

「離さない」

「一人にしてよっ……!!」


……だけど村雨くんは、絶対に手を離さない。