ある日モテ期がやってきた!!~愛されすぎてどうしよう~



本気で言ってるの!?

ついさっき「会うつもりはない」って言ったのに、それでも付き合っちゃうの……!?


【 ユウって、ネット彼氏何人居る? 】


……はい?


【 えーっと、ごめん。 ネット彼氏って何? 】

【 あ、こういうのあんまり詳しくないんだっけ?
まぁ、簡単に言えばゲームだよ(笑)
メル友と、現実世界で付き合ってるような感じで毎日メールして楽しむ。
ちなみに俺、今ネットの中に彼女が3人(笑)

その彼女たちも、俺以外のメル友と普通に付き合ってる。
深く考えることないよ。 メールの中で、気軽に付き合えるんだ。 】


……なんだかよくわからない。
ただのゲームとして、みんな楽しんでる……ってことかな?


そっか……犬太郎は、私以外の人ともメールしてたんだ。

そうだよね、サブアドレスを持ってるのは、メル友とやり取りするためなんだよね。


……馬鹿だなぁ、私。

私は犬太郎としかメールしてないから、犬太郎も私とだけメールしてると勝手に思ってた。

だけど実際は違う。

犬太郎は、私以外の人とも笑いながらメールしてるんだ……。


【 なんか面白そう!! 4人目の彼女としてよろしく(笑) 】


メールはいつもみたいに砕けた文章だったけど、私の顔に笑顔はない。

胸がズキズキと痛んで、苦しい……。


犬太郎と出会って、仲良くなって、「運命」って言葉にドキドキして、「好きになっちゃったかも」なんて思ったけれど。

でもこれはゲームで、みんなそれを楽しんでるだけ……現実とは、違うんだ。

たとえ同じ学校だとしても、所詮はただのゲーム。


本気で好きになるなんて、ダメなことなんだ。


……本気で好きになっちゃう前に気付けてよかった。

犬太郎も、犬太郎の彼女さんたちも、みんなメールを楽しんでるだけ。

それなのに私だけ本気になっちゃうなんて、そんなの滑稽だ。


【 じゃ、4人目の彼女さん、これからもよろしく!!
あ、掃除サボらずしっかりやれよー?(笑) 】

【 そっちこそ、サボらないようにね(笑) 】


私は4人目の彼女で、たまたま同じ学校だっただけ。

それを自分に言い聞かせながら、携帯をパタンと閉じた。